2017年3月に東京都で、はちみつに含まれていたボツリヌス菌が原因とみられる乳児ボツリヌス症による死亡事故があったようです。
毎日新聞からの引用
https://mainichi.jp/articles/20170408/k00/00m/040/121000c
東京都は7日、足立区の生後6カ月の男児が3月、蜂蜜が原因の食中毒で死亡したと発表した。
家庭で与えた市販の蜂蜜にボツリヌス菌が含まれ、乳児ボツリヌス症を発症したとみられる。
都によると、同症状は統計で確認できる1986年以降、今回を含め全国で36例が報告されているが、死亡は初めて。
男児は2月下旬に呼吸不全で入院し、3月30日に死亡した。
保健所が、便や自宅にあった蜂蜜から菌を検出し、ボツリヌス菌による食中毒で死亡したと判断した。
1月中旬から毎日平均2回、ジュースに蜂蜜を混ぜて飲ませていたという。
ボツリヌス菌(Clostridium botulinum)
菌の特徴
ボツリヌス菌は土壌や海、湖、川などの泥砂中に分布している嫌気性菌で、熱に強い芽胞を形成します。
ボツリヌス菌の芽胞は、低酸素状態に置かれると発芽・増殖が起こり、毒素が産生されます。
この毒素は、現在知られている自然界の毒素の中では最強の毒力があるといわれ、A~Gまでの型に分類されています。
ボツリヌス症
食品等を介して起こるボツリヌス症は、ボツリヌス菌が増えたときに産生されたボツリヌス毒素を食品とともに摂取したことにより発生するボツリヌス食中毒と、乳児に発生する乳児ボツリヌス症に分類されます。他に食品等を介しない創傷ボツリヌス症もあります。
ボツリヌス食中毒
食品中でボツリヌス菌が増殖する際に産生する毒素を、食品とともに摂取することにより発症します。
ボツリヌス毒素が産生された食品を摂取後、8時間~36時間で、吐き気、おう吐や視力障害、言語障害、えん下困難(物を飲み込みづらくなる。)などの神経症状が現れるのが特徴で、重症例では呼吸麻痺により死亡します。
乳児ボツリヌス症
腸管が未発達な1歳未満の乳児に特有の病気で、ボツリヌス菌の芽胞が、乳児の腸管内で発芽・増殖し、その際に産生される毒素が原因で発症します。
1歳未満の乳児にみられるボツリヌス症。乳児では、ボツリヌス菌の芽胞を摂取すると腸管内で菌が増殖し、産生された毒素が吸収されてボツリヌス菌による症状を起こすことがあります。
症状は、便秘状態が数日間続き、全身の筋力が低下する脱力状態になり、哺乳力の低下、泣き声が小さくなる等、筋肉が弛緩することによる麻痺症状が特徴です。
多くの場合、適切な治療により治癒しますが、まれに死亡する事例もあります。